2024年度山形青年会議所概要
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第67代理事長所信
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2022年度 第67代理事長 吉田 昌平
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汲めども尽きぬ情熱を胸に
~自由と多様性溢れるやまがたの未来へ~
はじめに
やまがたは雄大な自然と多様な食文化にあふれた地域です。先人たちはこのやまがたで、まちをつくり、繊細で優美な伝統や文化を築き、そして利他や思いやりの精神が豊かな精神文化を育んできました。科学が発展し、人々の生活が大きく変化した現代においても、自然や信仰を大切にし、生に感謝と畏敬の念をささげることを忘れないこのやまがたを、私は誇りに思います。
私には理想とするやまがたがあります。
自然と人の営みが共生し、歴史と伝統が彩をそえるまち、やまがた。
子どもたちは明るい未来を描き、大人たちは活気にあふれているまち、やまがた。
社会に貢献する経済活動と、多様で豊かな文化活動が織りなすまち、やまがた。
そして山形市民の誰もが誇りに思えるまち、やまがた。
私はそのようなやまがたの実現に向け、山形青年会議所の一員として活動してまいりました。
しかし、現状はこのやまがたのみならず、世界中が大きな困難に直面しています。新型コロナウイルスのパンデミックは、2022年現在も収束には至っておりません。経済活動は縮小し、行動は制限され、多くの人が不安や不満の責任を他人に求めています。加えて、兼ねてからの環境問題や人権問題、国家間の衝突や緊張、教育問題や経済問題など、社会課題の多くは早急に解決すべき危機的な状況を迎えています。
そのような課題は一個人、一企業で解決するにはあまりにも大きいものです。だからこそ、私たち青年会議所が存在しています。
山形青年会議所は、現在同様、社会が大きな変革を迎えていた1955年に、山形を思う33名の青年によって設立されました。それから66年間、山形青年会議所は「明るい豊かな社会」の実現を理想とし、運動を展開し続けてまいりました。そして、社会や時代の変化に対応し、在り方や活動手法を変えながら、様々な課題と向き合ってまいりました。
創立60周年にあたる2015年には、「BRIDGE」を提言しました。これは、10年後の「理想の山形」を実現するために、それぞれの運動が未来、地域社会・文化、世界につながる橋となるべく掲げられたものであり、現在も私たちが事業を構築する際に最も重要としている指針の一つになっております。同年、2015年の9月には、持続可能な社会を実現するための目標、SDGsが国際連合で採択され「BRIDGE」同様、事業構築の際の重要な指針の一つとなっております。
社会が大きく変化している今こそ、既存の価値観や行動を変えていく必要があり、そのためにはまず意識を変える必要があります。私たちは市民意識変革団体として、社会に先行して従来の判断基準や手法を見直し、意識を変えていくことで、価値観や行動を変えていきます。一方で、変えてはいけないものも多くあります。その多くの変えてはいけないものの中で、特にこれからの時代において大切にするべきものは二つあると考えます。
一つは「自由」です。ここでいう自由とは、人生における選択の自由のことを指します。選択の自由は決して侵されてはいけないものであり、また私たちは常に自由に選択できることを自覚する必要があります。選択が自由であるからにはすべての結果の責任は自身にあります。現状に不満があるとしても、それは誰のせいでもなく、自らの意思によって選択してきた結果であることを忘れてはいけません。その自覚があってこそ、目の前の困難な状況や課題を、他責の念にかられることなく、前向きに解決していくことが可能となります。
もう一つは「多様性を受け止める」ことです。持続可能な組織や社会であり続けるためには、多様性を維持し続ける必要があります。私たちは、他人とは在り方も考え方も異なることが当然であり、それこそが持続可能な社会の重要な要素であることを理解する必要があります。多様性を受け止められない社会では、少数派の迫害や個の衝突が生じます。多様性を受け止めるという考え方は、決して変えてはいけないものです。
いまこそ私たちが、「BRIDGE」と「SDGs」、「自由」と「多様性」を掲げ、大きな社会変革によって生じる課題と向き合い、率先してより良い変化を促すときです。私たちを育んでくれたこのやまがたのため、そして私たちが生きていくこれからの世界のため、私たちが希望をもたらす変革の起点となるべく、様々な運動を展開してまいりましょう。
明日への希望と勇気
ふるさとに対する記憶や感情は個人のアイデンティティーに強く影響します。1980年に「いま蘇るふるさとの夏」のテーマのもと、山形市民やお盆に帰省された方が、花火大会を通じてかけがえのない「ふるさとの夏」を感じて頂けるよう願いを込めてスタートを切った山形大花火大会も、本年で43回目を迎えます。関係諸団体のご協力と、先輩諸氏が絶えることなく情熱を注いだ山形大花火大会は、いまではやまがた市民に愛される夏の風物詩として定着しています。しかし、新型コロナウイルスの影響で、2020年、2021年は開催手法を大幅に見直す必要に迫られました。2020年第41回山形大花火大会は、事前に時間や場所を告知しないサプライズ花火を馬見ケ崎川にて打ち上げ、先行き不透明でうつむきがちな人びとが上を向けるような、応援花火に姿を変え開催することができました。2021年第42回の山形大花火大会は、感染対策として霞城公園に場所を移し、無観客での開催となりました。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない状況下での開催とはなりましたが、中心市街地に打ち上げられた花火は、多くの人々の心に大輪の花を咲かせました。本年の第43回山形大花火大会も、新型コロナウイルスの感染状況に合わせた開催形式の変化が想定されます。
形式が変わっても、私たちの山形大花火大会に対する情熱は変わることはありません。
日本の花火は最も精巧で華麗なものとして世界中から絶賛されています。そして奇しくも日本の花火大会は、江戸時代に全国的な飢饉と疫病(コレラ)の流行によって亡くなられた方の慰霊と悪疫退散を願い、多数の花火を盛大に打ち上げた「両国の川開き(現:隅田川花火大会)」が起源といわれています。当時から現代に至るまで、花火には見る人に感動を与え、大切な思い出の時間を創出することで、明日への希望と勇気をもたらし続けてきました。
新型コロナウイルスにより、多くの方が不自由を感じている今だからこそ、花火の力が必要です。山形大花火大会は、より多くの方に感動を与え、明日への希望と勇気をもたらすことで、いかなる困難も乗り越えられる、活力あるやまがた実現への橋を架けます。
地域価値の向上
出生率の低下や都市部への人口流出による人口減少は、社会基盤を弱体化させることになるため、最も深刻な地域課題の一つとされています。しかし、新型コロナウイルスの蔓延により、期せずして首都圏一極集中が見直されており、進学や就職においても、首都圏ではなく地方都市を選択する傾向が強まっています。今こそ、首都圏の一極集中を解消し、地方への適切な分散化を推進していく好機です。
ただし、首都圏一極集中という問題の解決は、首都圏と地方都市が有する施設の多寡や交通の利便性などを単純に比較するのではなく、首都圏と地方都市にはそれぞれ異なる魅力がある、という考え方のもとに進めるべきです。そのためには首都圏と地方都市の魅力を深く考察していくことが必要不可欠です。
地方都市の魅力は、その地方の地理や文化に由来しており、容易に創造できるものではありません。魅力とは、歴史や文化、産業、利便性、景観など様々な要素の集合体です。山形市には首都圏のような交通網や商業施設はありませんが、首都圏とは異なる多くの、そして唯一無二の魅力が既に存在しています。豊かな食文化や四季折々の景観もさることながら、草木塔や石供養に代表される思いやりの精神文化はやまがたの誇るべき魅力の一つです。既に存在している魅力、また、まだ認知されていない魅力を強く発信することで、地域の価値は向上していきます。そして価値ある地域には人が集まり、人が集まることで経済が発展し、経済が発展することで社会基盤が強化され、その地域の魅力向上につながる好循環が生まれます。
やまがたの魅力をさらに磨き上げ、地域の価値を向上させることで、すべての市民が山形市を誇りに思い、また誰もが住み暮らしたいと思うやまがた実現への橋を架けます。
多様性による運動と組織の強化
社会が成熟することで、産業は同一種の大量生産大量消費から、多品種の少量生産少量消費に移行していきます。産業の変化に伴い、社会自体も同一化傾向から多様化傾向に向かい、おのずと社会が抱える課題も多様なものに変化していきます。私たちは、その多くの課題と向き合い、解決のために主体的かつ能動的に行動し、運動を展開していきます。
運動をより効果的に行うためには、様々な方法があります。より良い手法の検討もその一つですが、最も運動を効果的かつ力強くする方法は、メンバーを増やすことです。メンバーを増やすということは、組織の多様化に直結し、私たちが取り組める課題の幅を広く、そして深くします。何より、メンバーが増えるという事は主体的かつ能動的に行動を起こす市民が増えることを意味します。
私たちはより多くのメンバーを迎えるために、価値ある組織であり続けなければいけません。また、価値は自らが高め発信していくものです。私たちはメンバーであると同時に、経済人であり、また家庭の一員でもあります。多様化を求める組織であるからには、それを受け止める組織の意識が必要であり、またそれを発信していくことが重要です。
私たちの最大の強みの一つは、性別問わず、多様な業種、役職、考え方のメンバーが揃っていることです。その多様性が増すほど、より多角的かつ包括的でインパクトのある運動を展開することが可能になります。私たちは、より多くのメンバーを擁することで、多様性のある組織を構築し、未来へつながる運動への橋をかけます。
世界各地の過去と未来をつなぐ交流
新型コロナウイルスは、これまでの交流の在り方を大きく変えるきっかけとなりました。実際に集まって交流することが主流だったこれまでの常識は覆り、ICTの活用による様々なツールを用いた交流が主流になりつつあります。
当初は「集まれない」ことの代替案でしかなかったWeb上での交流も、いまでは「集まらなくてもできる」交流の手法としてのメリットを発揮しております。どのような手法にせよ、交流の本質は他者を理解することから、知識を重ね、多様な価値観を育み、自分を磨くことにあります。前述の通り、私たちには66年間の歴史があります。その歴史をつくりあげた経験を私たちは先輩諸氏から学ぶことができます。そして最も身近な理解者である先輩諸氏と思いを共有することで、私たちの運動は、過去から現在、そして未来へとつながるより力強いものに変えることができます。
また、私たちには世界各地に同志がいます。各地会員会議所にも私たち同様の歴史があり、そして現在、私たちと同様に、各地の課題と向き合っています。長年に渡る姉妹JCとの交流は、異なる文化や考え方に触れることができるまたとない機会であり、また山形青年会議所と世界をつなげる貴重な機会になっています。
そして、交流によって様々なメンバー同士の関係性が強化されることは、SDGsが提唱する「地域の課題を本業で解決する」ための大きな後押しにもなります。さらに、私たちの運動を広く内外に発信することは、理解者を増やし、協働を促すことにつながり、SDGsの17番目のゴールである「パートナーシップで目標を達成しよう」の実現に大きく寄与します。何より、様々な活動を経て育まれたメンバー間の友情は、何ものにも代えがたい大きな財産となり、その後の人生をより豊かなものにしてくれます。私たちは交流を通して、やまがたを世界に、そしてメンバーを未来につなげる橋を架けます。
公明正大で先進的かつ効率的な組織運営
新型コロナウイルスの感染拡大以降、生活様式の変化やデジタルリテラシー上の問題に対応するための法令の変更など、ルールやモラルに関わる社会課題が特に注目されています。
青年会議所に関わらず、社会で活動するには、なぜルールが必要なのか、何を目的としたルールなのか、具体的に何をするルールなのかを正確に理解したうえで遵守することが重要です。同様に、ルールが現状に適していないのであれば、適切な手順を踏まえたうえでルールの変更を検討することも重要となります。そして、より良くルールを運用するためにはモラルの向上も必要不可欠です。
私たちは社会と青年会議所のルールに則り会議や事業を遂行しますが、青年経済人として、より先進的かつ効率的な組織運営を行います。そして時代に即した組織を目指し、デジタル技術を活用した効率的な運営を行うことで、育児や介護にあてる時間を確保するなど、様々なライフステージにあるメンバーが活躍できる組織の構築を通じて、誰もが活躍できる社会の実現を目指します。
各地青年会議所が主催する各種大会は、そのような社会情勢や先進的な技術や考え方を学ぶことができる非常に重要な機会の一つです。私たちは、地域や組織にしばられることなく、より広い視野から多くのことを学び、それを山形市に持ち帰ることで、さらなる組織力の強化を図ります。
私たちは、公明正大で先進的かつ効率的な組織運営を行うことで、地域に貢献し続け、地域に必要とされ続ける、持続可能な山形青年会議所実現への橋を架けます。
むすびに代えてメンバーの皆様へ
望む、望まないに関わらず、時代は変わります。
いつの時代も、激動の時代と評され、時代が変わる節目と呼ばれ、これまでに直面したことがない課題と向き合ってきました。そしていつの時代も、青年は青年としての役割を果たし、率先して社会の変革に貢献してきました。
2022年もまた、時代が変わる激動のときです。私たちは幸運にも、この激動の時代に生を受け、そしていま青年として社会の変革に関われる環境に身を置いています。
いまこそ、気炎万丈なる青年の、持てる力のすべてを試すときです。
有史以来、積み重ねられた知識と知恵を私たちは授かっています。
有史以来、積み重ねられた実績と信頼を私たちは預かっています。
私たちは、私たちを生かしてくれているこの世界のため、そして私たちが生きていく世界のため、かけがえのない仲間と共に、汲めども尽きぬ情熱を注ぎ、感謝を忘れず、行動を恐れず、未知の経験を積むことで自己を研鑽し、多くの力強い運動を展開し、やまがたの未来を築き上げます。
そして、望む未来に向けて、時代を変えていきます。